全員が敵/千波 一也
て考えには
至ってないの
わたしの
些細な何かをひとつでも
拒む人がいたとして
叱る人がいたとして
哀れむ人がいたとして
それは
敵ということにはならないものね
仮に
わたしの
総てを受け容れてくれる人がいたとして
それは少し、いや、かなり
信じられないわ
そんな不審な人を
味方だなんて言えないわ
狭くて広いこの世の中は
全員が敵ではありえないし
味方でもありえない
それゆえにこそ
奥深くて
有り難くて
飽きようのない
人生なんだと思うのよ
わたしのほかは
或いはわたしも含めて
全員が敵、という考え方は
半分正しくて
半分間違えているわけね
おわかり頂けるかしら
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