街角/織部桐二郎
 
電車通りの雨あがり
スイートピイの茶亭いで
若きびおろん弾きひとり
舗道にスウベニイルなり


少年少女手をとりて
頬紅らめてをづをづと
きき入るスウベニイルかな
びおろん弾きの夢心地


電車も過ぎて節終はり
次ひでグノオがアベ・マリヤ
折しもパアドレさまとおる
「神に感謝 よい子どもたち」


びおろん弾きは一礼なして
茶亭にいこはんとぞなせり
子らふたり心のかぎり
「ありがとうお礼をなにか」


「あなたたちきいてくれたね
それでいい 僕の魂
いつか維納に留学だ」


電車に画家がありました
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