君のダンスは鮮やかだから/智鶴
の様だったかもしれない
濁った沼に浮かぶ水仙の様だったかもしれない
冷たい雨に打たれて揺れる
優しい紫陽花の様だったかもしれない
灰が降り積る街並みの中で
何故そんなにも淑やかで
崩れ落ちるビルの轟音も
誰にも聞こえない慟哭も
全部、君の為に有るみたいだった
少しずつ少しずつ
僕も指先から泥の様に変わっていく
それが乾いてしまえば後は
この町と一緒だ、砂になって崩れてしまう
だからせめてそれまでは
僕の前に居て欲しいんだ
腐り始めた体には触れないで
僕に美しくないダンスを見せてよ
終わる頃には教えて
砂の山になってしまった僕にも
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