小屋/草野大悟2
るために、給料のいい日本を選んで、興業ビザで入国したの。今度で五回目ね。中村さん、あなたは一番上の兄さんによく似ている。それに、日本の他の男たちのようにセックス、セックスといわないから好き」
小屋に来て二日目、一日の終わりに、タチワナは僕の部屋に来て、僕の作ったインスタントコーヒーを飲みながら、そんな話をして自分の部屋に帰っていった。
小屋には、ダンサーたちの個室が七部屋あった。造りは皆同じで、四畳半の畳敷きの部屋だった。僕ら従業員の部屋と彼女らの部屋とは、小屋の二階に、廊下をはさんであった。
三日目、いつものように僕の部屋に遊びに来たタチワナは、部屋の壁に飾られている二枚の写真に初め
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