小屋/草野大悟2
気に入って、ぜひ、うちに、と僕を誘ったからである。これまで人から誉められたことなど一度だってなかった僕は、なにか居心地の悪い嬉しさを感じ、その人の誘いを受けることにした。
ホワイトメトログループは、全国の観光地に小屋を出しているこの業界最大手で、転勤も全国に及んでいた。それが嫌で辞めていく従業員もいたが、僕は独り身であり、どこで仕事をしようがまったく問題はなかった。それで、西船橋から新宿、仙台、札幌、博多と回り、六年前に熊本にやって来た。
僕はどこの小屋にいっても、女が美しく見えるように仕事をした。女たちが持ち込んだ
CDを編集し、彼女らの希望を最大限に取り入れて新しいCDを作った。CD
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