産業道路/はしごだか
 

むくとピンクと真紅の独特の毒がどくどく
と鬱陶しいほど沸騰して、ふっと埠頭を振
り向くと安定しないアンテナと誰もいない
コンテナと混んでない産業道路の上をウロ
ウロするうつろな労働者の骸(むくろ)とその後ろで
猫が繕(つくろ)うボロボロの袋と酸化したカサカサ
のカサブタで虹を作ろうなんてご苦労な話
だ。さっき話したあたしの舌は東京湾内で
はもう回んないし分かんないし変わんない
のはウンチが浮かんだ運河でたわんだ他愛
ない橋の下で足を冷やし続けた灰ですすけ
た悲しい裸足の廃棄物の肌のほてりと右か
ら左へ通り過ぎた凍りついた光の名残りと
それと丁度調和した昭和の
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