いのち素描/もっぷ
子の母は今ごろ
食べさせるべき二つの魂のために何をもいとわず
煮たり炊いたりに全力の愛を込めているのだろう
時にスプーンで夢を量りながら
かけがえの無い命のために
今日もせっせと
その頃ある国の路上では
前の日もその前の日にも糧を得られなかった親の無い子どもたちが
身を寄せ合いながら明日を信じていないのだろう
その頃ある町の路上では
優しい魚屋の店主からのほどこしににゃあ、と応えている
一匹の野良猫がこれからも生きてゆこうと
何なのかわからないものに き、っと誓っているのだろう
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