少年の話/小原あき
 
年の植木鉢の土は
さらさらに乾いていました
だけど、少年はずっと
帰り道に出会う人々に
水を譲ってやるのでした

そうしているうちに
少年は
いつの間にか
お父さんになっていました

お父さんになった少年は
自分の子供たちが生まれたときに
手の中に握っていた種を
植木鉢に埋めてやると
子供たちが大きくなるまで
代わりに水をやってやりました

じょうろに水を汲みに行くのを朝にしました
朝にすれば
帰りに誰かに会って水を譲ってしまっても
もう一度汲みに行けるからです

そうして
子供たちが大きくなるまで
毎日毎日
子供たちの種に水をあげました
たま
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