追憶の向こう側/ウデラコウ
ひどく 時は 緩慢で
誰か ゆさぶり戻して欲しいと思うけど
君の好きだった
あの 懐かしい音と
この 土臭い風と
僕の 身体が
どうしても 僕をここに押さえつけて
動けない
いつか 君はまた 笑ってくれるのだろうか
最後にみた 君の泣き顔が
僕を 酷く曇らせ そして酷く 君へと縛り付けて
さようならというには
まだ時は短く 距離は遠すぎて
今宵の風が
君の横を通り過ぎるのなら
どうか
僕は 君の行く先が
全て 輝かしいものになってほしいと
それだけを願うから どうか
僕ではない 違う誰かには
また
心から 笑って
花よりも美しく 儚くも消して消えないその強さで
笑って
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