億年の/梅昆布茶
 
億年の
静かな回廊に光が満ちる

瞬間を孕んだ風が吹き渡る緑野
なにか山巓を降りてくるものを待つ

待つあいだにも自分の意志とか
わからないものに軽く触っている

風化した海図では
どこの大陸にもたどりつけない

あるいはは大陸そのものが崩れさっていたり
誰も住んでいなかったりもする

未来や過去を縦横にむすぶ
チューブウエイがあれば
いいと想った

もちろんどこでもドアでもいいんだ
恣意的なきみに逢いたいとおもっただけなんだ

午後の自然光に充ちたアトリエの
散らかった絵の具や絵筆

床を汚す様々な色の飛沫のように
けっこう生きることは抽象的だったりもする

ふと等身大という嫌いな言葉にひっかかって
ミスチルが使っていたなともおもう

宇宙は130億光年の
ハッッブル宇宙望遠鏡の果てにあって

僕は等身大の現在を生きている
それでいいのだとおもうのだ




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