君に与えられた色/夏美かをる
 
君はクラスの中でただ一人
輝く褐色の肌を纏った男の子

幼児部の時は
「お母さんに会いたい」とよく泣いていた

お母さんはさぞかし優しい人なのだろうか?
遠足の日 君のお弁当は
ポテトチップス一袋だったけど…

二年生になった君はもう泣かなくなった代わりに
クラスメートに手を出して
度々校長室に呼ばれるようになった

教室では先生から一番遠い隅が君の指定席
そこで寝ているか、宇宙人の絵を描いている
「今ここを読んでいるんだよ」
君の落とした鉛筆や消しゴムやノートを拾う度に
教科書をそっと指差す
だけど君の大きな瞳が文字を追いかけることはない

―黒人が多く
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