愚者ノ眼のソネット 〔ソネット〕/ハァモニィベル
 
開放もしないくせに、閉じ込めもせず、
何が望みなのだ、世界よ
どうしろと言うのだ、世界よ
燃え上がり、高く、高く登れば、
汗すらも雲の如く氷つくのだろう、

凍えながら泪とともに地上に堕ちてゆく、
このザマさえ、笑いもせず、
ただ、じっと、遠くで見ている世界よ。
余りにも冷酷な支配者ではないか。

遥か遠く宇宙までも、極めて微細な細胞内までも、
見とおせる眼鏡をかけながら、
わたしが、見えないのか愚か者よ

わたしはいつだって、仕打だけを記憶したお前を、
ただ包み育んできた、お前の奴隷なのだ。愚か者よ。
わたしは、いつだってお前の眼という解釈の奴隷ではないか。



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