青春の頃〜ファウスト/Terry
人から本庄君と呼び止められ、
?おや何だろう?
と振り返ると、
「バイバイ」
ただそれだけの挨拶で、達夫としては、
?僕はそんないい男じゃないよ?
と思いながらもバイバイと一日の別れを告げた。達夫の初体験だった。
達夫はバスケットボール部員を眼中に入れていなかった。日本人でプロフェッショナルないわゆるNBAのプレーヤーは未だかつて誰もいない。十二月にサッカーとバスケットボールを二分したトーナメントがあり、それで良い結果が出れば受験勉強に勤しむ気でいた。達夫は客観的に自身のプレーを見たことがない。バスケ仲間は達夫に何かを隠してトーナメントの準備を進めていった。何であれ、そのコー
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