シーサイド/木屋 亞万
波打ち際に重油を撒いた
小さな見えない火が揺れる
夕焼けみたいだな
波は引いていくのに
火は消えない
水際で阻止された汚染
陸地は汚れなかったけど
海はめらめら
汚れたままだ
日が沈む中
熱を持つ
表面を撫でるだけの波は
いつも砂浜で戯れて
尖ったものをまるくする
砂を頽落させていく
平らに平らに舐めていく
燃えてるものは燃えたまま
汚れは汚れたままうすく
うすく広げて
うすめては
沈んで
見えなくなっていく
水は腐るのではなくて
生き物の住処になるだけ
死すら汚れになりきれない
清潔な水というのはさびしい
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