先割れスプーンは知っている/ブルース瀬戸内
ぽの皿が置いてあるだけだ。
僕は先割れスプーンをぐっと握りしめる。
隣の妹の腹が食前よりかなり太いのだが、
そんなことを気にしたら兄として失格だ。
僕は先割れスプーンを静かに置いてから
やっぱりスプーンをぐぐっと握り直した。
このスプーンはすべてを知ってるはずだ。
これから食べ物をめぐる修羅場が始まる。
醜いが、生きるとは一面そういうことだ。
先割れスプーンがキラリと光る。勝負だ。
「ちょっと話がある」僕は宣戦布告した。
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