繋がる赤い糸/ハァモニィベル
、フェラーリのように赤い服を着た彼女の顔を見ると、綺麗な瞳を輝かせた、〈赤〉に無頓着な美女が、そこにいることに、こちらの方が気づいた。
*
彼女は、読書会の記事を熱心に読んでいる。まさか。参加者ではあるまい・・・。
初めて見る彼女は、もう何度もネット上の会話をしている奇妙な顔見知り?そんな不思議な偶然も無いとは言い切れぬ。枠の中の世界が実体を持って裏返されたような瞬間。檸檬のような―― 一瞬。
*
彼女は、読書会の記事を興味深かそうに読みつづける。ルージュ・ココの口唇がちょっとほころんだのがわかった。
リンクを飛んで、私の投稿した詩が、彼女のスマフォの画面上に現れた。ハァモニィベルの詩だ。意識を集中した彼女の美しい瞳が、その詩を、読み始めた。
《フェラーリのような女が、颯爽と乗込んで来た時、・・・》
戻る 編 削 Point(3)