漂白/ソリッド町子
みんなそれぞれの毎日を生きている
私はそういうとき一人で
死んだ祖母の骨を思い出す
祖母が死んで、その身体がすべて燃えて
むき出しになった骨は乾いて白かった
私はそれをとても美しいと思ったし
とても切ない気持ちになった
とても切ない気持ちになった
遠くへ行くさざ波を追いかけていくような
海辺に打ち上げられた白い貝殻のような骨
隣のお姉さんは席を立ち
お姉さんの後に座ったサラリーマンは窮屈なネクタイを外し
レジの女の子は会計を間違えていた
そうして今日の日は終わる
人々の窓にはカーテンが引かれて、
それぞれがそれぞれの眠り
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