花咲かば/
Seia
花へ向かう方が
はるかに楽なのは
わかっているのに
めりめりと音を立て
空に伸びる
幹と枝を想像しては
重ねていく
目の前にある空虚に
霧に投影した理想は
車が通る度
何度も何度も
かき消されていく
加速したときずり落ちた
私がみているものと
原動機付自転車のシートに残した
私の抜け殻がみているものは
二重写しになったまま
春がくるのをいつまでもまっている
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