自然の戦争/小川 葉
定したら
自然もおしまいだ
そんな勝手な人間中心の
街づくりとはなんなのか
美しい海があり
美しい海で暮らし
美しい海で暮らす人間の
暮らしがある
その美しい海の人間の生活が
防潮堤を今よりさらに高くすることで
美しさが損なわれるという
そのノスタルジーとは
人間中心の
勝手な美意識ではなかったのか
ここからこちらがわにはこないでね
という
津波の到達点が
今回の震災により示された
また
ここからこちらがわにはこないでね
という
熊が出没する分岐点が
山にも示されている
海に街がある
山にも街がある
しかし自然が自然であるために
死守しなければならない
国境というものもあるのだ
人間の戦争というものも
互いの国境を侵害したことにより
侵害したものに対して
戦争というものは
はじまるものだからだ
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