(先生十生徒)x京都÷現代詩=PINK/左屋百色
 
降り
誰も死ななかった。傷つかなかった。
駅前の広場で詩を売っている子が
手首に貯金している
(そうだ、京都で死のう
春の風が首から入ってくる
電車は擦り付けて入ってくる
わー、
誰かの言葉が岩になって道を塞ぎ
次から次へと事故が起こる。
(そうだ、京都で死のう
わたしはあなたの詩に何を感じたのかな
ひとつの色がふえた
知らない季節が生まれた
鏡の上を割りながら歩いた。
(そうだ、京都で死のう
包帯いらない
隠す傷なんてない。
冬が白く武装しても見つけてあげる
新しい洋服ほしいな、優しい洋服
えろすぎる下着なんてわたし
似合わない宿題やらないケーキ三つ
食べてやる
調教された星を数えて計算してやる
でも答えは言わない。
えっくすは答えじゃないよ
ブランコの鎖が冷たくて
手を離したら夕暮れはピンクになった
こんな日を待っていたのかな
(そうだ、京都で会おう

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