通りすがりの/深水遊脚
あなたのためのもの
顧客情報が作り上げた自画像に浸食されて
あるがままの姿すら認めるのが難しくなっている
通りすがりから始めるには
もう手遅れかもしれない
あるいは電気が止まれば
誰もが通りすがりから始めるしかない
必要な言葉だけが取引され
余韻を残さずに別れてはまた出会う
結局のところ
そうすることしかないのだ
そうすることから逃げる知恵だけが
生きる全てになってしまっているけれど
必要な言葉はこれですべて
余韻を残さずに消えることが
今度こそわたしはできただろうか
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