妖艶な虫かご/藤鈴呼
が
あんな筈でもいいじゃないかと言う名のレールを
小刻みに 震わせながら 進んで行く
何故 震えて居るのか
笑っているのか
寒いのか
不安なのか
どれなのですか
プリン状のクッションが
かろうじて の 理性を
繰り返し 打ち返しては
微笑みを 取り戻す
一瞬だけ 戻した口角は
次の瞬間
どのサーブより 恐ろしい角度で
歪むのだ
したたかに
はっきりと
二度と 鋭角には 戻るまい
ラケットの形が 網アミの理由を
知っていますか
虫鳥籠にだって
隙間が 有るでしょう
小さな猫が
のほほんと 往来する 出入り口
そのくらいの口元でならば
我慢できます
あなたは ただ ゆっくりと
蒸される瞬間を
蒸し返さぬように
虫鳥籠の角度を
替えて 待てば いい
丁寧に セットして
笑いながら 待てば 良いのです
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