OMMADAWN/
 
囚人たちしかいないのではないだろうか。そんなことをぼんやりと考えている間にも、雨は私の脳細胞を引き剥がしていく。私は今、何を考えていたのだろう。彼女と一緒にあの家が燃えてしまった時のことか、それとも微妙に揺れ続ける海辺の景色か。雨が降っている。灰色の雨だ。世界に、この部屋に、私自身に降り続いている。この雨は、いつ止むのだろうか。私は待っている。すべてを忘れ果て、上昇と下降の区別もつかなくなり、残酷な平衡状態の中で、それでも私はずっと待っているのだ。決して訪れることのない、あの人を。

(あの人って?)

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