猫のいる部屋/大覚アキラ
残った最後の一匹が
タオルを敷いたダンボールの隅で、
丸くなって眠るのを眺めながら
きみはずっと、その子猫の名前を考え続けている。
に んげ ん は すこ し ほほえ んで い る
その りゆ うは わか ら ない
母猫は二日目の朝に出ていったままだ。
たぶん、もう帰ってこない。そんな確信がある。
ここ は あ たた かい
そして さつばつ と し ている
どのみち、明日にはおれたちも
この部屋を出ていかなくてはならない。
子猫の名前よりも、
明日の夜をどこでどうすごすかを決めるのが先だ。
わ たし は ねむ りにおち ていく
この ま ま めざめな い か もしれ ない
なのに、そんなことはお構いなしに
この殺伐とした空気が支配する部屋で、
きみはずっと、子猫の名前を考え続けている。
わた し は ねこ だ
な まえは ま だ ない
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