女たち/草野春心
 
 ベッドの横に立っている最後の女は静かだった
  ただ ひっきりなしに煙草を吸い、足元に灰を落としながら
  みずからの形作る細い影が 壁のうえで
  他の女のそれと重なり合うのを見つめていた
  男もまた 影の織りなす踊りのようなものを見つめていたが
  意識をそこに集めようとすると 病のように重い眠気が男をとらえた
  眠りのなかに 女たちはいない
  それでも男の躯は 固く 縛られたままだ



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