望遠鏡/
千波 一也
遠くを見ていると
そこに至るまでの道のりが
ないもののように
錯覚してしまう
けれど
その錯覚が
誤りだとは言い切れない
正しいこととも
言い切れない
わからないことを
わからないままにして
のぞき見る鏡には
いったい何が
映るのだろう
いったい誰が
見ているのだろう
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