対話/末下りょう
 
会話


イタリア製の黄色いスポーツカーをボウンボウン乗り回すビールっ腹のお前


ぼくはきみが好きだ


三国志を語らせたら延々と語り続けるきみ
野心家で 神経質で さみしがりやで
嘘つきで すぐ腕相撲したがるきみ


あの春

放課後の渡り廊下から校庭の女子のブルマを眺めていたぼくに、仲間を引き連れた通りすがりのきみは語りかけた

お前、好きなバンドなに__
腐れ縁の始まりだったよ


必要最小限の悪との生活にゆだねた日々、移りゆく季節のなかでぼくらは傷つけあい、そこから自分たちの痛みさえもえぐり出したな


木漏れ日のすきまから太陽をせせら笑っては消えたろ


こうやって久しぶりに挨拶を交わして肩を叩き合うと、魔法にかかったまま相手の名前すら知らず苦くて嫌いだったビールを煽り、さりげなく闇夜の向こう側に酸性の夢を飛ばしてるんだ



銀の皿にボノボの脳味噌が運ばれてきた


なあ、そろそろお互いの頭でも噛み切ろうか


戻る   Point(3)