ばあちゃん (remix)/魚住蓮奈
 
ばあちゃんに買ってもらった吸盤に春の匂いが吸いついてゆく

ばあちゃんに注がれてゆけ夕立や汚い虫やその他もろもろ

ばあちゃんをへし折ってゆく夕まぐれどこまでもどこまでも独りだ

ばあちゃんにスライディングを決めるときかすかに痛む心臓がある

ばあちゃんの手にマチュピチュが育ってて(いつからだろう)しかもうつくしすぎる

ばあちゃんが夏の坂道だったので仔猫はなべて目を閉じるのだ
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