水宇宙/岡部淳太郎
 

循環している
そして宇宙の
あちらで
こちらで
ひとつぶずつの水がいっせいに
滴り落ちる。 。 。

と、

いのちたちは水際に佇んで
その事実を歴史に書き加える
これまでにも
何度となく
そのようにして水は
滴り落ち。 。 。

きた の だが

われらの喉を潤す
たったひとつぶの水
そのひとつぶが
祈りとともに
願いとともに
やがて大きな 川の流れとなる
ひとつぶから始まる
宇宙の
水の奔流
宇宙の各所で
いのちたちは目醒める
自らが巨大な水の一群となることを目指して
それぞれに滴り、
落ちる。 。 。 。 。 。
またひとつの
星の
誕生 あるいは死
私は泣いている
全宇宙の
水のいのちのために
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