残灯帖/織部桐二郎
 
白菊のもとに霜おく朝ぼらけ
わが庵さしてひと訪はましを


小夜ふけて霙ふるなりひとり寝の
宿に荒れにし板庇かな


涙川凍る夜寒のわびしきに
心も知らで霰ふるなり


埋火の消なば消ぬべしわびぬれば
返りごとなき文ぞわりなき


難波江に千鳥啼なり冬ふかみ
白浪たちぬ浦の夕風


唐衣涙に濡るる袖しぼり
宇治の山里雪閉ざしつつ







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