秋憶/織部桐二郎
 
淡くもふかき雨のはざまに

蒼くおぼめく記憶の収斂

薄き陽にいはけなき夢

ほの見ゆる永劫の影


太初よりかくもありしか

秋晴の水晶のうれひ

やさ心かすかささやき

あひ見ての訣れのきはの

君がまなざし儚き泪

折しもうたふいにしへの曲


うた人の宿世のうれひ

いと聖き光のさなか

とけゆくあたり秋ぞ果てぬる

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