玲玉詠草/織部桐二郎
 
時雨ふる鳥羽のわたりに駒とめて
うき身のほどをいかにとぞする


唐衣涙にそむる袖しぼり
深草のさと時雨ふるなり


返りごとなきぞかなしきね覚めかな
逢坂山に霰降るらし

砧うつ伏屋わたりにうちいでて
ひたにまちぬるふゆの夜の月


ときは山松に置きつる雪みれば
時にもあらぬ花ぞ咲きたる





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