光造船/
うみこ
水面に月が揺れている
岸の見えない
海の真ん中
それは誰にも見つからない
布製の光が
波の上を滑るように航海する
誰にも掬えない航路を行く
あの人の
おさげ髪が懐かしい
そんな思い出の中
カッターシャツで
帆を縫ってゆく
これは夢のまた夢
朝日に消える光行船
誰にも知られぬ夜のなか
あの工場で造られる
思いをのせた光行船
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