古曲/織部桐二郎
 
いづくにぞかくもありつる
うまし音充つる幻さやか
たぐへたりとはの月しろ
一たびのひと夜かたらふ


そのかみはふたりありけり
今し今とふともあらじ
うるはしき風やあやなす
霧ふかき時のをち方


野辺わたる風のしらべに
したひよるいとけなき声
虹なせる浄きまなざし


そのかみのひと夜のしらべ
うつし世に身や尽くるとも
とことはのおもひ絶えざり
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