アイフォンを手にしながら/番田 
 



でも あの店はまだ
冷たい海辺に建っているのだろう そして きっと
僕は松屋で性懲りもなく
安いカレーを また今日も急いで食べるのだろう


先客の女の子がいた 必死で 卵と それと
牛丼のようなものを 必死で
胃の中にかきこんでいた きっとそれは今まで見た中で
一番寂しくて悲しい光景


貯金をするための
僕の松屋での通算食事回数を考える
冬の暗闇の曲がり角は 何もない きっとこの職場は
恐らく僕の描く理想の場所とはほとんど無関係だった


生きる時間を無駄にするだけなのだと思い 猫の体に触れる時
鉄の仮面のような目をしている僕

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