ミルキーブルーのVanity/草野大悟2
茜色のときが いきなり消えて
雨傘は 紫陽花をさがし
心は心を抱きしめる
よじれる鉛筆が十六夜を犯し
十六夜は十三人のユダを産む
十六夜は処女であったころの風をまとい
眠りこけている永遠の頭をひっぱたく
美尻は 毎日 今日を産み続け
何億もの子をなしたけれど
おれの今日は明日だ、と
もちろん分かっている
でも、今日がそれはおかしい、と異論をはさむので悩んでいるのだ
今日と、おれと、明日とは
おそらく
うまく競合してゆく幻かもしれない
あのころの輝きという物語を物語る空から
無数の秘密が投下され爆裂する
空だ
ミルキーブルーのVanityだ
風通りの旗は
はたはたとはためく時を待って
いま、この国の地底深くじっと希望のように眠っている
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