希望の血溜/創輝
なかった
振り返ったところで 僕を見ている人はいなかった
蓮の花が 極楽浄土に咲く花だと教えてくれたのは誰だったか
物事を省みようともしない僕が生み出した血だまりにすら その花は咲き
夢の足跡を見失った僕をあざ笑うように揺れている
この手が 何を奪ってきたのだろう
この足が 一体どれだけの同胞達を蹴落としたのだ
この瞳は 何人の人を見るのに 愛するのに使われたのだ
この体は 一体誰を抱きしめるために作られたのだ
手のひらには 何度だって血だまりが出来た
手のひらに乗っかろうとしてきた『希望』を振り払おうとするたびに希望は傷つき血を流し僕の手のひらに血だまりをつくった
物言わぬ君
すれ違った人
君達の目に、蓮の花の浮かぶ血溜まりはあるのだろうか
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