明日へ/もっぷ
 
変わらずにいつもわからない明日
するりと訪れて気ままに去ってゆく
取り残される人間は生き遺したことが
あるような無いような無様さで
夕陽に細長い影を作らせる

昨日を思ってみるのはどうだい
囁くのはカシオのデジタル時計
思ったところで修正不可能な
水彩画の失敗作のようなものだよ
絵なんて描けないけど絵を喩えに
切り返す、悔しさも隠せずに

今日を歩いているはずの
その脚に多少とも信心を
すればよいのにとカシオは再び囁く
今日ってなんだろういつだって
今日じゃなかったのかい
カシオがターゲットを絞りはじめる

考えたくはない反芻したくはないことが
今日わたし
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