羊たち/
草野春心
かなければならなかった ただ、
そうしなければならない気がしたのだった
近くの林でオオカミたちは
(やはりと言うべきか)まるまると惰眠に伏している
かれらはきみを食べない 脅かさない 笑いさえしない
羊たちの甘やかな影を追いかけるようにきみも眠りを求めるのだろう
だがどんなに沢山の赤い薔薇を抱きしめながら
その 隠された 夥しい数の棘に血を流しながら
きみが眠りにつこうとも きみが赤い薔薇の夢を見ることはない
絶対に ない のだ
戻る
編
削
Point
(3)