ただこころのなかで/梅昆布茶
 
愚かな自分を鏡に映す
冷え切ったからだにのこる温もりをさがしてみる
かつて確かにあったその感触を思い出してゆく

暖かい手を心に紡いでみる
たぶん忘れてはいない筈のことばを捜して
記憶を暖めてゆく

盲いたままではいけないと思うのだ生きているかぎりは
無用にひとを傷つけてはならない奪ってもならない
生きて在るいじょうのなにを求める必要があろうか

鏡のなかの自分に問いかける
愚かな自我のゆくえを
そしてそれを捨ててしまおうとも思う

もういちど静かでただしいかたちに戻ろうと願う
愚かな片隅を照らしてくれたひかりをわすれないように

そしてもし叶うならば感謝のことばが届くように
そのひかりにこころのなかでよびかけてみようと思うのです

ただこころのなかで





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