マゼンタ/自転車に乗れない女の子
 
 



昔大切だった人に
今さら会いたくなって
噛み締めた唇から
静かに血液が流れた

ふいに起こり上がる衝動を
押さえつけながら
私は耳を澄ませる

『純粋に
 ただ純粋に
 あなたが好きです。』


恋というには重すぎて
愛というには子供すぎて
シアン色をした気持ちが
静かに血液に混じる

思いがけず寂しくなって
あなたの夢を見ては
うなされているのです


『君の為だけど
 君のせいじゃないよ。』


嘘つきなあなたの
強がりが忘れられなくて



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