アクトロイドの愛/イナエ
 
ともできないし 
息が詰まるよ(呼吸なんぞしていないけれど)
互いに思考を反らして
熱が出るのを防いでいるけれど
何時発火するか知れないほど緊張するから

呼吸がない空間にいて 死ぬことも出来ないで
それでも記憶は永遠だから
遊んでくれた少女の声も 
少年のまなざしも 男の好奇心も
記号の貯蔵庫に封じ込こんで
言葉も 笑顔も 過去も 現在も
わたしの中で生き続けて行く

忘却を知らないというのも
かなしいことだ

         ※ 過去作「アクトロイドの恋」改稿
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