亡き従兄弟に捧げる/
イナエ
水を残してきた水筒
ここで諦めるにはあまりにも悔しい
立ち上がった男の鋭い目に 息を切らせて登ってくる少年が
入った
少年は 額の汗を腕でぬぐい 水筒を差し出した
なぜ遅れたのか詰問する男に 少年は途切れ途切れに答えた
村の水は 汲み置きの水だから 泉まで行って 冷たい水を汲んできたと
***
男は取り出した水筒をさすり 一口水を含んだ
そして 眠っているような村を 遠い目で眺めていた
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