溢れる/自転車に乗れない女の子
 
 


 本当はなんにも
 感じないくせに
 わざわざ面倒を並べたて
 加工に加工を重ねては
 心ない心を言葉として生産する

 ただただ
 自分の涙を見るのが怖くて



 本当はなんにも
 知りたくないくせに
 無理矢理型に押し込んで
 笑みに笑みを連ねては
 苦味すらも思いだせなくなっていく


 ただ、ただ
 自分の涙を見るのが怖くて


 いつから壊れたのかと
 考えだしたら
 はじめっから正しくないことにすら
 気づけなくて
 だから全部同じ形で
 何度演っても同じ台詞で




 僕はやっぱり
 涙を見ることが怖くて






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