うすむらさきの朝/梅昆布茶
 
薄紫色の大気はひんやりと冴え渡ってそこにあった
南天の赤がこじんまりと眼の端に映るそんな朝だ

生きることはそうわるくもないさときどき意味のとり方を間違えるだけなんだ
そうみんな生のかけらを交換しながら生きている

枝から枝へうつる鳥のようにときに世界は揺れて見える
身にそわないものにあえてしたがう必要もないのかもしれない
ただ追いかける自分はとめられないそれが生きることならば

ほんとうは人生のひとつひとつ
草木や森羅万象のひとつひとつともっと丁寧に
対話できれば良いのだろうが

転がる石の朝はときにめまぐるしく
それでも薄紫色の朝はたしかにこころに映る
それを忘れなければ幾度でも朝はくるとおもうのだ

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