ジェロニモ/salco
ジェロニモは古い雑居ビルの二階にいる
逆立てた金髪の根元半分が黒い
豪壮なプリンあたまの
ぶざまに鼻の長いこの青年は
いつもどんより倦み疲れた顔で
ほぼ毎日同じ電車でプラットフォームに吐き出され
カットオフにヨレヨレのソックス
ソールの反り上がったドタ靴で
私の二、三歩先を足早に行く
まるで自分の置かれた領域には何一つ
楽しい事などなかったし
これから足を運ぶ先々にも何一つ
ないかのような顔つきで
ぶ厚い革靴をだるそうに引きずる
足首はそれでも細く幼い
半分を黄金に染めた髪を彼は毎朝
ていねいに逆立てて固めるのだろう
出陣式然と
鏡に向けて顎を引き
額にし
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