ある雨の憧憬/涙(ルイ)
たら
突然どしゃぶりにやられてさ
君ったら何を思ったのか急に傘を投げ出して
きゃっきゃ きゃっきゃ云いながら
まるで水を得た魚のように踊りだしたりしてさ
僕の手を取って 二人馬鹿みたいに雨の中で笑いあった
次の日には二人して風邪ひいて38℃の熱出してさ
あのときの病院の先生の呆れ顔 いまでもよく覚えてるよ
雨が降るといいことがあるのよって 君はよく口にした
君に出会えたから僕も雨が好きだよ
悲しいことは全部ぜんぶ この雨に流してしまおう
聞きたくないことはぜんぶ 雨音がかき消してくれるんだ
そうして天気のいい日には
二人濡れた心を干しあって乾かしてしまえばいい
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