はじまりの光のよるに、星を見ていたと伝えよう。/北街かな
から訴えかけられるその温度は
途方もない現実がかつてずうっと彼方で始まったという冷ややかな証だ。
こんなに複雑になってしまった世界は全て、かつてただひとつの光から放たれた。
その光の驚くほどの単純さとゆらめきが、あらゆる可能性を時空にあたえたのだ。
その光を、かすかな波を、頭のうえで受信している。
夜を見あげれば星を美しいと思うだろう。
闇で光の輝くことが、どれほど美しいものかと泣くだろう。
はじまりの頃の巨大な光が晴れ渡っていく時空を照らして、
ようやくその時代、形ある宇宙の光景が開かれ、ゆらぎは互いを引き寄せあった。
そのときの記憶だろうかと、僕は聞いた。
星が好きだという君に聞いたんだ。
星を見て美しいと思うその根拠は。
希望を光だと思えるこの幻想は。
なぜ、生まれたのですかと星のない空に聞いてみる。
そこにはただ滑らかな放射がひろがっていた。
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