現実にあることしか言葉にはできないのか/北街かな
を書きたいです、
触れられぬからこそ感触のないものを、
破線にふちどられる暫定的客体の群れ、を
虚像は鏡のなかにたたずみまるでお前のように笑っているじゃないか。
色のかたどる私自身は最低なくらい私と同じことを考えて歪に欲し、浅ましく笑ってだらしなく寝食する、じわじわじわじわ。
その形ある姿が後ろ暗さの陰だ、
私自身の中身には驚愕の事実がある、
光などどこにも無いんだ
汚れきった内臓の沼に沈んで空想の藁にしがみついている溺れかけた蟻の、
同じことの繰り返しで
生産とは無縁な
ねえ恋人よ、次元の向こうには人々に希望がありますか?
すると虚像は銀を嘔吐して夜明けに
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