砂情/ねなぎ
 
れは
ゆっくりと
侵食されて
気がつけば
流されるように
沈むように
朽ちて
こずんで
混じって
紛れて
無くなるように

拡散し
溶けて
混じり
収束せず

打ち寄せて
引き返すを
繰り返している
だけに見えて
そこにあるだけの
全てを
飲み込む生き物のように

目を開き
蛍光表示管の時刻を確認し
ゆっくりと
肩を回せば
胸のボールペンが
音鳴らし
起動する

疲れの取れない
頭の中で
揺らめくような
意識が粒となり
泡立つように
収束して行く
首筋から
溢れている気がした

次に回るべき配送先を
浮かべ
棚上げされた先を
波音に流せば
残るのは
ぼんやりとした
青さと
諦めに似た

戻る   Point(2)